真面目すぎたいとこの話

http://anond.hatelabo.jp/20090523220328

ばあちゃんから聞いた、うちのいとこの話。
同じく兄が重度の知的障害を持っていて、妹が18歳。
妹が福祉の大学に行くと言ったとき、回りは複雑だったそうだ。
「本当に福祉をやりたいのか?おまえはおまえの人生だ。自分の好きに生きていいんだぞ。」
増田家と違って、親はこんなことを言ったそうだ。でも妹は睨み付けて答えた。


「そんなこと言っても、いずれお父さんもお母さんもいなくなってしまうじゃない。そしたらお兄ちゃんの面倒を見るのは私しかいない。お母さんみたいな自己流の介護じゃ後でたいへんなことになる。家族なんだから、施設に入れるなんてことは絶対しない。だから私はこの大学に行って介護の事を勉強して、将来は福祉施設で働く」と言って、進学した。


僕はその話を聞いたとき、18にして運命を受け止める覚悟をしているいとこに感服しつつも、とてつもない悲しみとぶつけようのない怒りが沸きあがって来たのを憶えてる。希望にあふれ夢は無限大なはずの18歳に、進学や就職まで縛る権利は誰にあるのか。せっかく自由な日本で生まれたのに。同級生達は何のためらいもなく好きな選択をしているのに。そんな重いもん背負ってたら、下手すりゃ結婚だって影響するかもしれない。しかも本当の地獄は親が死んで、彼女の体力が衰えた中高年になってから訪れる。そして彼女はそれも知っている。これはなんなのだろう。なんだこの宿命は?なんで彼女が?兄のせい?親のせい?神のせい?

最初は「正面から向き合ったら、それだけで人生が終わるよ。」とでもアドバイスしようと思った。でも、どうやらそれすらわかっていて、つまりは自分の人生全てを兄貴にささげるつもりらしい。

僕は未だなんと言えばいいのかわからない。
増田の反応やブクマは、「知ったこっちゃねーよ自分の人生好き勝手やるからなって言ってやれよ!」と言う意見が多いみたいだけど、逆に好き勝手に生きないことに決めたいとこに対し「それは馬鹿な生き方だ」と言う勇気がない。