ニート、ヒッキー、いじめられっこ、リストラ、ワープア・ネカフェ難民のみんな、現実感のない恋愛歌に嫌気がさしてる非モテのみんな、X-JAPANを聴こうぜ。

最近のYOSHIKIは、なんかTV番組だと特別扱いされてるし、ただの自己中ナルシストにしか見えないかもしれないけれど、少なくともかつてのYOSHIKIは熱い男であった。
そして僕の人生は、YOSHIKIの曲に何度救われたかわからない。
思春期の理想と現実と失望と迷いの中で、しかしエネルギーだけは有り余って爆発寸前になりながら悶々とする日々に、唯一魂まで響いたのがXの曲だった。

訴えかけるものがあるから

1980年代に発表された「オルガスム」という高速ナンバーがある。
女のあえぎ声からイントロが始まり、サビが「深く突き刺せ」であるこの曲は、最初はただのエロい曲だと思って、男子校にいて女と無縁だった自分はあまり好きではなかった。
でも何度か聞くうちに、エロはただの比喩に過ぎないことに気づいた。
(後述に解説を載せたため、各行に番号を振ってある。)


オルガスム  作詞 白鳥瞳(=YOSHIKIです。中2病なペンネームなだけです。)


1 わかりきった明日に怯える
2 火の消えた心の壁破れずに
3 お前は求めているんだろ
4 刺激に抱かれた Making love
5 身体に布きれ装っても
6 天国へ行けないぜ


7 自惚れたあいつに縛られ
8 身体を駆け巡る血が叫けぶ
9 吐き出す言葉に爪を研ぐ
10 鎖に巻かれた Pleasure of mind
11 乾いた砂漠で踊っても
12 時の檻破れないぜ


13 Get to オルガスム Get to オルガスム 身体とかせ
14 Get to オルガスム Get to オルガスム 深く突き刺せ

これはまさに負け組のための応援歌じゃないだろうか?
自分なりの解釈を書いてみた。(異論は認める。)


1,2行目 「このままじゃいけない」という不安感を抱きつつも、きっかけをつかめず引き篭もり続ける奴に、
3,4行目 本当は刺激に満ちた人生を求めてるんだろ?と肩を叩き、
5,6行目 くだらねープライドなんか捨てちまえ、思いっきり恥かいてこそ道は開けるんだぜと叫ぶ


7,8行目 調子のいいいじめっこや上司に毎日いじられ、やり場のない怒りで爆発しそうになって、
9,10行目 次々と攻撃的な言葉が沸いてくるも、ぶつけるべき相手には言えない
11,12行目 だからといって2ちゃんに撒き散らしたところで何も変わらないぜ
13,14行目 最高の人生にしろ、ぐちゃぐちゃになるまでやってみろ


1980年代にこの詩を書いたYOSHIKIは天才だと思う。
いや、当時だからこそ書けたのかもしれない。
他人事のように淡々と恋愛事やきれいごとばっかり並べる現代のJpopとは違い、心に突き刺ささる何かを感じないだろうか?
作り手と自分との対話を感じないだろうか?そして音楽とは、ロックとはこういう物を指すと思う。


もういくつか紹介

紅  作詞 YOSHIKI


嵐吹くこの町がおまえを抱く
吹き抜ける風にさえ目を閉じる
おまえは走り出す
何かに追われるよう
俺が見えないのか
すぐそばにいるのに

X  作詞 白鳥瞳(=YOSHIKIです以下rya)


さめきった街に別れを告げ
荒れくるう刺激に身をさらせ
あいつの瞳は光り失せた
燃えくるう心は操れない


乱れた愛に流され おまえは全てを失った
身体貫く叫びで おまえの心壊してやる


錆付いた言葉投げ捨てて
張り裂ける心を解き放て
降りしきる雨に背を向けて
息づく奴らに言葉はない


埋もれた時に戸惑う おまえは悪夢をさまよう
血の気震わすNoiseで おまえの心壊してやる


X 感じてみろ X 叫んでみろ X 全て脱ぎ捨てろ
X 感じてみろ X 叫んでみろ X 心燃やせ


中高生時代の僕は不条理な目にあってやけくそになったり、逃げ出したくなったりするたびにこれらの曲を聴いて「そうだ、俺にはXがついてるじゃないか」と勇気づけられる相当痛い奴だった。
でもね。「俺が見えないのか?すぐそばにいるのに。」
こんな熱い言葉が他にあるだろうかと今でも思う。

恋愛思い出話なんてクソくらえ、負け組だったら「夢破れた自分」だろ?

さて、負け組たる者ときには哀愁に浸りたいこともある。J-POPだともっぱら別れた相手のあまっちょろい思い出話で話にならない。僕達の心を打つのはこっちの方だろう。


「顧みる過去にむしばまれ血を流す」「血迷う心のかけらは 影も形もない夢を今も追い続けてる」Vanising loveより


「孤独に怯える心は今も、過ぎ去った夢を求めさまよう」Blue bloodより


「理想は現実の墓の中で、笑われるままその目を閉じた」「Game is over役立たずで死ね」Miscast(HIDE作詞)より


「傷つくだけ傷ついてわかったはずの答えを、どうしてまだ問いかけてる」The last songより


「I still remember 答えのない明日に 夢を求めていた日々を」
「限りなく広がる空に もう一度生まれた意味 今を生きる意味を問いかけて」Without youより


Xのファンというと、コスプレ女性ばっかりだというイメージがあるかもしれないけれど
実際コンサートに行くと男性の方が多いくらいだ。
2008年復活ライブの時、僕の隣はミスターオクレ似の、ザ銀行員みたいなやせほそったおっさんだった。
おっさんはこぶしを握り締めながらわなわな震えて泣いていた。
そのとき連れて行ったうちの母親もすっかりファンになっていまい、その後の日本のコンサートは全部行ってた。


今回は詩について書いた。もちろん純愛バラードもあるけれど、特に初期のX時代は熱い詩が多かった。
でもXの本当の良さ・すごさは曲にある。
音楽の知識が全くない僕が音楽を語るという時点で相手にしてくれないかもしれないけど、普段邦楽しか聴かない人はこれを知っていれば間違いなく音楽を100倍楽しめるようになるので,機会があれば曲について、話そうと思う。



復活初ライブ オープニング映像

あの洗脳野郎は本当にXの曲を歌うのか?40過ぎて、昔のような高い声が出せるのか?
長い伴奏の中、ファンの誰もが不安に思いながら待ちにまった10数年ぶりの第一声は、
解散前のラストライブ最終曲:The last songだった。
「終わらーなーい雨〜〜」
なんだ、何も変っちゃいないじゃないか。俺の青春時代の、あのときのTOSHIじゃないか。
ふと隣を見ると、ミスターオクレ似のおっさんがこぶしを握り締め、涙していた。